寺子屋 大仙寺の日々是好日

三重県伊賀にあるお寺。大仙寺の寺子屋ブログです。探究型の寺子屋です。HP → https://www.iga-daisenji.org/

「学校行きたくない」という気分になったとき という首藤先生の文章を読んで思ったこと。

寺子屋サポーターでもあり、尊敬する先輩でもある、千葉大学名誉教授 首藤久義先生のFBから以下抜粋です。

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「学校行きたくない」という気分になったとき

「休みたい」という心の声が自分の内部から聞こえてくるとき、無理して出かけるのがいいか、無理しないで休むのがいいか?
肉体の病気の場合は、無理して出かけて重症化したり、最悪の事態に陥ったりする危険をおかさないほうがいいと私は言える。
症状が軽いうちに、休養を十分とって対処し、病気が治ってから出かけるほうがよいと、私は言えるし、人にもそう言うと思う。
しかし、肉体ではなく気持ちが「休みたい」と訴えているとき、まずは休んで、気力の回復を待とうという決断ができるだろうか?
これはなかなか判断が難しい。
自分の場合は、「休みたい」ときにはすぐに休むという選択をすることができる。
しかし、同じ決断を、自分以外の人に求めることができるだろうか?
人により、場合により、家庭により、人間関係によって、この判断は、分かれるだろう。
こういう悩みの場合、万人に通じる正解は無いように思う。
本人や本人を守る立場にある人が、自分や自分たちで、いろいろ考えたり、書物やネットや生身の人に相談して情報を得ながら、自分が納得できる方法をいろいろやってみるしかないのではないだろうか。
やりながら、その時々の結果に応じて、より良い方向に方向転換しながら進んでいくしかないのではないか。
私が今言えることは、ここまででしかない。

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人間が行う営みに正解はない。子育てにしても教育にしても、正解はない。その子のためにと思ったことが裏目に出ることだってある。そんな自分を責めなくていい。

だって、子どもを思う気持ちは純粋なんだから。失敗したり、うまくいったり、そんなことを繰り返していく中で、だんだん分かってくることがある。

 

子どもと過ごすというのは、自分自身も成長するということ。いつの時も変えられるのは、相手ではなくて自分自身。

 

あるがままのあなたを受け取る。

 

そのことの安心は、大きな力になる。ボクができることなんて、限られている。

 

そのままのあなたに花丸を。そう思って今日も子どもと過ごそう。

子どもをみとるということ

子どもをみとる

 

教育の世界では、子どもを理解しようとすることを、「みとる」と言います。

 

「みとり」については、いろんな考えがありますし、手法もあります。ボクも全ての子どもについて毎日日記を書いたこともありますし、特定の子どもを追っかけて記録をとったこともあります。

 

寺子屋サポーターでもある、横浜国大の石田喜美先生と学会で発表したこともありました。

kimilab.hateblo.jp

 

でも、結局は、子どものことは分からないのです。わかった気になるのがほんとに怖い。それは、あの子はこういう子だって自分の中のモノサシで判断することだからです。

 

でも、分からなくてもなんとか理解しようとい営み、これこそが、教育にかかわるものの仕事です。

 

結局、記録をとるしかないのです。寺子屋でも毎回、子どもの記録をとります。それをみながら、次はこうしようとか、振り返るわけです。これが、評価なんですよね。

 

このことを腑に落ちるまで、長くかかりました。子どもは分からない、いや、他者は分からない。そういう立場に立って、なんとか理解しようとしていく。それが大事だと思います。

自分のメガネで子どもを捉えていてはいけない。あるがままを、喜ぼう。

 

今、生きている、この不思議に手を合わす。こうやって出会えたこと。今、あなたが生きていること。それだけで、ありがとうだ。

寺子屋 秋のプロジェクト〜肝試し編〜

お墓ってなんだか夜は怖い・・・ボクは僧侶だけど、小さい頃は怖かったなぁ。とはいえ、仏教では生まれることも死ぬことも、同じ永遠のいのちのはたらきなんですよね。そういう意味では、お墓っていのちの集まり。温かい場所ともいえます。

 

さてさて、それはさておき。寺子屋小学生の部では、秋の夜に肝試しをするべくプロジェクトをスタートさせました。プロジェクトの肝はなんといっても目的。プロジェクト学習の大御所、キルパトリックはそれを「whole hearted purpose」と呼びました。訳すと、全身全霊で取り組むべき目的という意味になります。つまり、思わずやりたくなるような目的をプロジェクトの真ん中に置くということです。

 

今回であれば、「お化け屋敷を作ろう!」が目的になります。学校の中で、お化け屋敷を作る実践は何度かしてきました。2年生の生活科でも6年生の特別活動でも。それはそれは、夢中になります。懐かしいなぁ。

 

このプロジェクトを学びへと高めていく素案を作るのが、ボクの役割です。

寺子屋は言語の学びが中心ですので、こんなことを考えています。初回に子ども達から出てきたアイデアです。

 

□招待状を書こう(全員)

□お化け屋敷の設定の物語を書こう

□オリジナルポスターを描こう

□クイズラリーのカードを作ろう

□クイズを作ろう

 

十分に言語の学習になる材料が揃っているなぁと思います。招待状にしても、保護者の方に来て欲しいから、何をどう書くのかが明確になります。必然的に必要な事柄が盛り込まれるはず。

 

こういったプロジェクト学習の時の、ボクの役割は、簡単な見本を作ることです。例えば、招待状にしても、いくつかの見本を作ります。その際、すごい仕上がりのものでなくてもいい。子どもからツッコミが入るぐらいのものです。すごいものを作ると、それに引っ張られてしまいます。どうしてもすごい見本を見せたいなら、たくさん種類が異なったものを作って提示するといいと思います。

 

今回のプロジェクトでは、お墓の見取り図は子ども達に渡そうと思っています。時間があれば、それも子ども達が作るのがいいですが、今回は時短のため作ります。

 

また、ザッとお墓を歩きながら、どこがポイントになりそうなのか、みんなで散歩するのもボクの役割です。とにかく、イメージを膨らませることを手助けします。そこまで、できれば後は動き出すでしょう。

 

今回のボクの準備物

□紙 □マジック □地図 □懐中電灯 □ホワイトボード □ホワイトボードペン □クイズラリー見本 □招待状見本 □ポスター見本 □受付机 □スタンプ □マグネット □模造紙

 

こんな感じで、下準備をしておきます。後は、必要に応じて子どもが教えてくれると思います。今回は話し合いながら進めることが多いので、ちょんせいこさんの、ホワイトボードミーティングの手法を使って話し合いをします。

wbmf.info

 

話し合いを視覚化していきます。子ども達でも十分できるようになります。こうなると、ぐっと話し合いが深まるんですよね。

この本めっちゃいいです。愛用していました。 本もいいですが、実際にせいこさんの講座を受けてみるとその良さが体感できます。また、行きたいなぁ。

 

下準備をして、後は手放す。そんなことを大事にしたいと思っています。そして、子ども達の様子を記録すること。これも大事にしていこうと思います。

 

楽しみです。

 

寺子屋小学生の部に、ご興味のある方は、こちらに詳しく書いてありますのでご連絡下さい。

www.iga-daisenji.org

寺子屋まつり開催しました!

10月17日(日)に寺子屋祭りを開催しました。寺子屋の子ども達は、自分たちが企画したお店を運営しました。たくさんのお客さんに、てんやわんやでしたが、お客さんに楽しんでもらえたようです。

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「子ども達が生き生きしていました。」

「お祭りを通して、子どもが成長しているのがよく分かりました。」

「年下の子によく声をかけてくれていました。」

「子ども達の笑い声や温かい雰囲気。ほっとする様な幸せな気持ちになれました。」

「楽しくて子どもも大喜びでした。」

「みんなで集まって何かできるの楽しみにしていたんですね。」

 

こんな感想を保護者の方々からいただきました。他にもたくさんのメールもいただき感謝でいっぱいです。子ども達にも感想を聞いてみました。

 

「お客さんがいっぱい来て、うれしかったよ。」

「途中でルール変えたりして、工夫できたよ。」

「仲良くなったよーー!」

「たこ焼きうまかった!今度は自分のお金で買いたい!」

「力を出し切って疲れたよー」

 

一人一人、感じ方は違いますが、みんなでできたことが嬉しいです。この寺子屋祭りの構想は、昨年、退職を決めてから、いつかできたらなぁと思っていたことでした。地域の子ども達が、自分たちで祭りを作っていく。そうやって子ども達が育つ場を作りたいと思っていました。こんなに早く実現できるとは思ってもいませんでした。

 

これも、寺子屋に来ている子ども達、通わせてくれる保護者の方、またその友人の方々のおかげです。そして、こうやって大仙寺を守ってきてくれた多くの方々の支えのおかげです。

 

去年の今頃は、今ここでこんなことが起きているなんて思ってもいませんでした。縁というのは不思議です。予定された縁なんてないのに、つながってしまった僕たち。

 

子どもの成長が楽しみで仕方ありません。子ども達の成長を後押しできる、そんな寺子屋にしていこうと、改めて決意した時間でした。

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おとなの背中 〜中学寺子屋にゲストが来ました〜

鷲田清一さんという哲学者が大好きです。その中でも、おとなの背中というエッセイ集が大好きです。無人島に行くなら絶対持って行きます。

おとなの背中 (単行本)

おとなの背中 (単行本)

  • 作者:鷲田 清一
  • 発売日: 2013/09/21
  • メディア: 単行本
 

 エッセイの題名を使わせてもらった、寺子屋企画『おとなの背中』

 

これは、地域で活躍する、面白い大人の方をゲストに招き、中学生と語り合うという企画です。社会は僕たちが思っている以上に広くて、世界はもっと広い。だから、子ども達には、本気になっている大人にたくさん出会ってほしい。ゲストの方から、聞いた話、話した話は、時間と共に忘れていくかもしれません。しかし、何かが残るはず。それこそが学びです。少しずつ残ったものを足していけば、大きな経験として、生きることを下支えする。

 

アインシュタインの言葉に、こんなものがあるそうです。

「学校で学んだことを全て忘れた時に残っているものが教育」

あーーそうだなって思う。ボクらには忘れるという機能が備わっているけど、それでも忘れないことがある。それが知となっていく。

 

今回のゲストは、NPO法人伝丸(https://www.tsutamaru.or.jp/)代表 和田 京子さんです。伝丸さんは、伊賀に暮らす外国人支援をするNPOの代表です。三重県NPOグランプリも受賞されている団体です。

 

ボクはUターンしてくる際に、伊賀は外国の人が多いから、何かサポートできることをしたいと思っていました。それは、自分自身が協力隊で海外にいた時に、たくさん現地の人に支えてもらったからです。

 

伊賀で活躍しているNPOがあると聞き、早速、連絡させていただきました。最初に会った時から、和田さん達の、伊賀で外国の人も日本の人も、幸せに共に生きていくことへの情熱を感じました。そして、何よりいろんなご縁が重なって、団体を立ち上げて、活動されている。その姿にも感銘を受けました。

 

ボクたち人間は、生きがいをもって生きることが、伸び伸び生きることにつながると思っています。それは間違い無いでしょう。生きている実感をもっているのってすごいパワーです。でも、生きがいを自分で作り出すものだって、思い過ぎてしまう。

 

最近読んだ『都市と野生の思考』(鷲田清一・山極寿一著)にこんな一節がありました。

「生きがいとは本来、誰かに期待されることによって生まれる。自分で決めるものじゃない。」

 和田さんも、インドネシアに4年住んで帰ってきてから、伊賀の人たちに頼まれることをしているうちに、形になっていったとおっしゃっていました。なんだか、この一節に通じます。和田さんはNPOの代表ですので、通訳を手配したり、翻訳者を手配したり、支援につなげたり、黒子の仕事もたくさんしている。でも、それはいつも、伊賀に暮らす外国の方達の幸せを願っている。ゴールはぶれていないんだよなぁ。

子ども達に、伊賀で住む外国の方の話をしている時の、和田さんの顔が生き生きしていてそれも嬉しい。子どもは社会の宝だから。もっとびっくりしたのは、さすが伊賀の子ども達。当たり前のように、クラスに外国の子がいる環境で育ってきているので、関わり方も知識も豊富。未来は明るいなぁって思う。

働く=お金を稼ぐ これは株式会社でもNPOでも同じなんだけど、そうしないと、会社や団体を維持できない。でも、お金をかせぎたいから、会社があるわけでも、NPOがあるわけじゃない。社会にとって、役に立つことを提供する対価としてお金がある。そんなことを、話を聞きながら思っていました。

 

子ども達は、どんなことを感じたのでしょうか。今度、聞いてみようと思います。

 

和田さん、ありがとうございました。

 

和田さんから、みんなに一言もらいました。

「素敵なのは子ども達。伊賀ですくすく育っていますね。」

 

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子ども達とお祭りを作るということ

明後日は、いよいよ寺子屋祭りです。

iga-daisenji.hatenablog.com

 今回のコンセプトは、「自分も楽しく、相手も楽しい」ということです。シンプル。明日、お祭りづくりを手伝ってくれる子ども達17名と準備をします。

 

寺子屋に来ている子もいれば、初めて来る子もいます。敷居は低く、来るもの拒まず、去るもの追わず、そんなことを大事にしたい。

 

お寺に来たら、「どんな自分でも、大事にされて、そのままでいいんだな」って感じて帰ってほしい。あるがままに生きること。これは、仏教の大切な教えです。ボクにとっては、子ども達と学び育つことが、僧侶としての生きる道だと思っています。

 

明日は、2時間という限られた時間の中での、お店づくりです。こんなことを子ども達にまなんでほしいと思っています。

 

①チームで折り合いをつける力。

②お客さんを意識するそ想像力。

 

こういった子どもがワクワクする学びは、必ず衝突が起きるものです。それが大事です。でも、やりたいことだから、いつまでも揉めれない。そこで、折り合いをつけ始めます。これは妥協とは少し違います。アイデアを足し算するのです。

 

また、自分たちのアイデアが独りよがりにならないように、いつもお客さんを意識する。ほんとに、みんなも楽しめるのか。この力って大切。だって、自分も楽しく、みんなも楽しいなんて最高だもんなぁ。

 

あとは、子ども達がやりたいことができるような材料があれば、任せてしまいます。口出さない方がうまくいくもんです。育ちやすい環境を整えれば、任せても大丈夫です。

 

明後日は、本堂などもオープンにしながら、3密に気をつけながら、のんびりやっていこうと思います。

てらこやまつり開催 10/18(日)

【てらこや祭り開催】

日時:10月18日(日)10:00から11:00ごろ

場所:真宗高田派 大仙寺(三重県伊賀市上野三之西町3241)

内容:子ども達の出す露店
   
   たこ焼きともさん 出店(子どものために活動している方)

   クイズラリー

※たこ焼き以外は全て無料です。

みなさん、ご贔屓に。

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