中学寺子屋で大人の背中vol.4を開催しました。
中学生の寺子屋では、子ども達の世界の可能性をどんどん広がることを期待して、ユニークな大人の方をゲストに学ぶ日があります。
それが、大人の背中です。
今回は、ボクです。
恥ずかしいのですが、青年海外協力隊の話をさせてもらいました。ちょうど、寺子屋の日に近くの高校で講演をしたので、その内容を子ども達と共有しました。
ボクがフィリピンに行ってたのは、もう10年以上も前のこと
社会はどんどん変わっているし、どんどん良くなっている。だから、10年前のフィリピンが今のフィリピンではないの言わずもがな。
でも、ボクがフィリピンで経験し学んだことは今の人生を支えている。そんなことを話しました。
フィリピンでの2年間は苦難の連続でした。
島中の人に嫌われた最初の数ヶ月。島の先生を上から目線で指導して反感を買いまくりました。
そんな時に、ある島の男の先生に言われた言葉
「俺たちの文化をもっと大事にしてくれ!」
それからというもの、必死で島の言葉を学び、同じものを食べ、同じものを飲み、同じように笑い、いつの間にか、島の住民と同じようになっていました。
そこでやっと、島の人たちに受け入れられ、現状も知ることができました。
先生達と一緒に、サマースクールしたり、休日の学校をしたり、いろんな活動をしました。それは、自分が受け入れられたからできたこと。支援する、支援されるの関係ではなく、共に生きるということです。
ボクがこの経験で学んだこと
共に笑い共に遊ぶからこそ仲良くなるということ。
チャレンジすれば成長があるということ。
自分で考え動くということ。
経験から何を学ぶのかを大事にしてほしい。そう思っています。
読む力を伸ばすということ
今月の寺子屋のプロジェクトは、「読む」ことに関心を寄せていきます。そこで、読むことについて理論的に学び直しました。寺子屋サポーターでもある首藤久義さんの「ことばがひろがる」の理論部分を読みアイデアが湧いてきました。読む力とはいったいどういうものなのでしょうか?首藤さんを手がかりに、この記事では考えていきたいと思います。
読むことは、大きく分けて二つに分かれます。
一つ目は、情報を得ること。二つ目は、楽しむことです。このことを、首藤さんは次のように書いています。
「読むことは仕事や遊びや学習の生活に必要な情報を得るために役立ったり、心を楽しませること。」
ボク自身のことを話すと、小さい頃たくさん本を読んだわけではないですが、高校生ぐらいから、かなりの読書量を積むようになりました。楽しむのが目的の場合もあれば、新しい知識を得るために読むこともあります。楽しみながら情報を得ることだってあります。読むことが、自分の成長につながり、生活を豊かにしてくれた実感があります。それはなぜでしょうか?
それはズバリ、読むことは、その人の知識や経験など全てを総動員する必要があるからです。自分の力を全て使って読むから、自分の成長につながるのです。
読むと、まず文字を手がかりに脳の中に内容を再現します、そして内容を理解しようとします。内容を理解する時、今までの自分の生活経験と結びつけたり、いろんな考えが自動的に湧いてきます。考える力が自然とつくのです。それが、多読することが書くことも上手にするし、考える力をつけるといわれる所以です。
でも、読むことを強制的にされてもなかなか効果は上がりません。例えば、料理の本を読むのは、美味しいご飯を作りたいという目的があるから読むわけです。目的がないところに学びは成立しません。これはキルパトリックという教育学者が繰り返し言っていることです。このキルパトリックさんはボクのお気に入りです。
寺子屋でも目的をもった読む学びを展開していきたいと思います。これまでの小学校教員時代も、この読む授業には強いこだわりをもっていました。
子ども一人一人が違うように、子どもの読む経験や力は異なります。その子に即した読みの経験が必要なのです。つい、ボクたちは推薦図書のように、みんなに一律に何かを読ませようとしてしまいますが、それだけでは読む力は伸びません。
まずは、本に慣れ親しむことです。最初は読めなかった本が2回目はスラスラ読めるといったように、成長を実感できるようにしていくことが大切です。どの本を手に取るかは、その子自身が決めることですが、自由にさせると、その子には難しすぎるものを選ぶかもしれません。そこには介入が必要です。そうやって選書の力をつけていくといいなって思います。
寺子屋の一月のプロジェクト「読む」でも、目的のある学びを計画していきます。目的は共有しつつ、同時に一人一人に即した多様な学びがあること。そのことを大事にしていきます。
一人ひとりが生き生きする学び方
子ども一人ひとりは個性があり、一人ひとり違う育ちのペースがあります。そのペースを無視して、全員同じでないといけないと考えてしまうと、かえって育ちを邪魔してしまいます。
この学年の子は全員、これを習得しなければいけないと考え、全員に同じ課題を与え同じ結果を求めてしまう。ボクも教師になりたての時は同じように考えていました。自分が受けた教育がそうだったからです。
「教育者は、自分が受けた教育を再生産してしまう。」
でも、時代は変わっているわけです。従順で組織の歯車になる人材が求められている時代ではありません。組織に属しながらも、自分らしく生きたいと願う時代です。
教育も当然、形が変わっていいのです。量をこなすことが能力を高めることは否定できません。しかし、意味のない繰り返しでは力はつきません。
大切なのは、その子に即した学びです。
個人差が問題になる教室はよい教室ではないというのは、国語学者の首藤久義さんの言葉。ボクもそう思います。多様な活動が同じきょうしつで同時に行われているような学びは、人と比べなくてよい教室になります。
大切なのは、その子自身の学びです。
寺子屋で大切にしていることです。
手を合わすということ
あけましておめでとうございます。
今朝は修正会でした。修正会はお寺の初詣のようなものです。8:00から檀家さんや近所の方、10:00からは寺子屋の子達です。
こうやって奇跡のような出会いで集ったみんなで、新年を祝えることは幸せです。生きているこの不思議に感謝する。コロナも含め自分たちの思い通りにはいかないことがたくさんあります。そして、不安になったりイライラしたり。
でも、思い通りにいかないことがボクらの日々を彩ってくれているともいえます。今年、どんな出会いがあるのか、どんなことがあるのか、一つも予定されたものはありません。そして、その出会いが僕たちを照らしてくれることも事実です。
手を合わすということは、こうやってつながりの中で生きていることに感謝すること。ありがとうを表すことだと思っています。
何も手を合わす形が大事なわけじゃない。心の中でそっと、ありがとうって呟くことだって、手を合わすということなんだと思います。
大仙寺の寺子屋には原型があります。これは、ばあちゃんがしていた日曜学校や習字教室です。ばあちゃんはいつも言っていました。
「一人ひとりの心の中に仏さんがいるんや。だからな、どんな子であっても素晴らしいんだよ。」
僕たちは一人ひとり、たくさんの宝物に毎日触れています。友達と笑い合うこと、素敵な本に出会うこと、悔しいこと、悲しいこと、もう全部です。どんな出来事も感情も、あなたが今ここにいるから、素晴らしいから生まれる。
ここに今いること。それだけで、もう花丸です。
生まれることが自分で選べないように、死んでいくことも自分では選べない。でも、この地球に生まれたこと、ここにいることの証は縁となってずっと生き続ける。
明日はばあちゃんの墓を掃除しようと思います。ばあちゃんは、亡くなる時だって、心の中でそっと手を合わせていたと思うのです。
一年の振り返り
【ZENタイルで振り返り】
いただいたZENタイルで一年を振り返る。
振り返る時は誰にも遠慮なく振り返るのがいい。考えずに感じたままに。意味は後づけで。
ZENタイルの使い方を勝手にアレンジして、一年でやります。
嫌・怒・独は、春先です。これは、Uターンして家が工事中で、狭い家に両親とうちの家族が同居中で、母といざこざが絶えませんでした。独っていうのは、妻が働き、子どもたちは保育園。ボクは無職。そういう自分にイライラしていた時間です。
寂・疲は11月あたり、体調も崩したりした時のこと。疲れが出たのでしょう。なんだか寂しかった。
感・美は夏前ですね。これは石田 喜美さんと母校の横国の学生のみんなとワークショップをしたこと。学生のみなさんの心に触れて感じたこと、とても美しい時間でした。今も心がポカポカします。
望・愛・緊・驚・熱は夏に寺子屋をスタートさせたことです。これからに希望をもっていました。幼馴染みの力があって、夏の寺子屋は13名集まりました。これが原型です。友人の愛も感じ、感謝です。緊は初めての授業もそうだし、集まるかなぁというドキドキもです。驚はたくさん来てくれたこと。そして、伊賀の子ども達のたくましさも。熱は、子ども達と向き合う自分の軸に対して。
「一人一人がユニークな存在として、生き生きとすごしてほしい。」
味・笑・楽は、幼馴染みとの楽しい時間。この頃はコロナも落ち着いていたのでしょう。うちで、ぶりをつまみにしこたま飲みました。楽しかったー!
幸・癒は今、この瞬間。そばに妻がいて、子どもがいて、近所の人がいて、寺子屋のみんながいて、この瞬間が幸せです。
恥・妬・怖はあまり感じませんでした。自分の力ではどうしようもないこと。そんなことがいっぱい僕らの周りにあります。誰と出会うかだって選べない。嫌なことも良いことも、日々を彩ってくれる。
今、生きている不思議を拝む
ありがとうって一年最後に手を合わして今年も終わります。
ありがとう!!
来年は寺子屋、お寺、そしていよいよ認可がおりるNPO法人WAKUTOKIと共に過ごしていこうと思います。
ラッパー古渓光大さんと「大人の背中」
12月23日(水)に「大人の背中 vol.3」をしました。「大人の背中」は、寺子屋に参加している中学生が、こだわりをもって生きている大人の方と出会うという学びです。
みんなが思っている以上に、世界は広いこと。そんなことを感じてもらえたら嬉しいなって思います。
今回はラッパーであり、僧侶であり、サラリーマンの古渓光大(ふるたにこうだい)さんにゲストで来ていただきました。
ボクより一回り年下の彼ですが、ボクが尊敬する人です。彼については、彼岸寺というwebサイトへの連載で書いています。
一流企業のサラリーマンでありながら、今月で退職し、新しい道を切り開いていく光大さん。その生き方や決断にはどんな出会いや揺らぎがあったのか、そんなことを話してくれました。
まずは、みんなで自己紹介。結構派手目な光大君のシャツに興味津々。最初は、光大君の話。自分がいつも人と比べて生きてきたこと、それに勝つことが目標になっていたこと。でも、比べることを手放し、自分をもっと大切にしてあげたい、自分がチャレンジしたいことに取り組んでいきたい。そんなことを熱く語ってくれました。
「みんなだっていろんなことあるけど、みんなが今ここにいる、それだけで最高なんだよ。」
そんな言葉は、中学生への優しいエールになったことでしょう。
その後はいよいよラップです。今回は彼のラッパーとしての活動に注目したかったんです。めちゃかっこいい!自分の内面の葛藤を言葉にしていくのが彼のラップ。みんなで彼のPVを見ました。
「かっこいい!」素直にそんな言葉もありました。等身大で生きようとする姿。いいなぁ。
次は、子ども達が選んだ言葉で即興でラップを披露してもらいました。最初のお題は「2020年というと?」コロナやマスクなどの今年らしいワードも光大君にかかると、メッセージ性のあるかっこいいラップになります。
2回目のお題は、みんなに任せました。みんなが選んだのは、自分たちが好きな◯◯。蛍光ピンク、ギターなどなんだかいろんな言葉が乱立しましたが、かっこいいラップになりました。
「人と比べているのが自分と同じだと思った。」そんな感想もみんなからありました。世界は広い。そんなことを感じられる時間になったと思います。
光大くん、ありがとう。こうやって、寺子屋での自分探し、自分磨きの日々は続いていきます。ボクもみんなと同じように、自分探しをし、自分を磨いている最中です。切磋琢磨しながら、成長していきたいと思います。
寺中有希さんと大人の背中
12月16日(水)に「大人の背中 vol.2」をしました。「大人の背中」は、寺子屋に参加している中学生が、こだわりをもって生きている大人の方と出会うという学びです。
みんなが思っている以上に、世界は広いこと。そんなことを感じてもらえたら嬉しいなって思います。
今回は、プロジェクトアドベンチャージャパンの寺中有希さんにオンラインで参加していただきました。寺中有希さんは、会社の仕事とは別に、まんぷく食堂というアート活動もされています。
ボク自身も、プロジェクトアドベンチャージャパンのワークショップで有希さんと出会いました。その縁で、居ドコロ新聞を書いてもらいました。これは、有希さんと対話しながら、ボクの内面を有希さんが言葉とイラストで描いていくというものです。寺子屋を始める前に描いていただいたことで、何を大切にしていくかが見えてきました。
その他にも、お寺のイラストも描いていただいたりしています。
ボクは何より、彼女の世界観がとても好きで、なんだかほっこりします。有希さんのイラストも大好きです。あるがままを生きようとする有希さんの魅力に触れてほしいと思い、ゲストに来ていただきました。
子どもたちは事前にイラストを見ていたので、イラストレーターの方が来ることにワクワクしていました。初めてのオンラインでのワークショップ、緊張しながらも楽しみにしていることが伝わります。
まずは、しるらないカードを使って自己紹介をしました。今の自分の感じに合うイラストを選んで喋ります。このしるらないカードは、有希さんがイラストを担当したカードです。カードがあることで、自分を表現しやすくなります。ボクも学校で愛用していました。
これかなぁ、あれかなぁと探りながらも、自分の感性で選び、言葉にしていく自己紹介はすっと心と心の距離が縮まったような気がしました。何より有希さんのファシリテートが柔らかい。
それから、有希さんのお仕事や大切にしていることをパワーポイントを使って紹介していただきました。このために準備していただいたことにも感謝です。子ども達の聞く姿も真剣です。
その後は子ども達の質問タイムがありました。「東京のどこに住んでるんですか?」みんな気になるよね。ボクも中学の頃は、関東にとても憧れていました。
最後に、ライブドローイング。子ども達と有希さんが対話しながら、その場でイラストを即興で描いていただきました。これには子ども達は感動。
自分が大事にしている言葉に合ったイラストを選び、対話していきました。ある子は、一度選んだカードがしっくりこず、さっと変えていました。これは、自分にこだわりをもっている姿そのものだと思います。素敵です。出来上がったイラストがこれです。
自分の内面に向き合うには時間や場が必要です。有希さんとの時間はまさにそんな時間でした。家に帰ってからも、このワークショップがとても楽しかったと家族に話している子もいたようです。
ちなみにボクが選んだ言葉は宝。自分らしい宝をたくさん見つけて、育ってほしい。そんな願いを込めました。