寺子屋 大仙寺の日々是好日

三重県伊賀にあるお寺。大仙寺の寺子屋ブログです。探究型の寺子屋です。HP → https://www.iga-daisenji.org/

漢字を学ぶということ

漢字を学ぶということ。

 

漢字ドリルを見ながら、ひたすら書く。これも漢字を学ぶ一部です。この場合の目的は、テストで点数を取ること、覚えることです。

 

脳の仕組みとして、忘れるということがあります。エビングハウス忘却曲線という理論が有名です。これは、人は忘れてしまうことを理論的に説明したものです。

 

だから、忘れそうになったらもう一度覚えることが大事です。つまり反復するということです。ですので、ひたすら書くという勉強方法は間違いではありません。

ja.m.wikipedia.org

しかし、覚えているものを何度もするのは効率が悪いので、間違えたところを何度もするのが良いです。小学校の場合は市販の問題集も非常に良くできています。オススメは、立命館大学陰山英男さんの問題集です。これ一冊で、6年間いけます。

 覚えるという漢字の学び方とは別に、漢字を好きになる親しむという学びもあります。

 

覚えるのは暗記

 

好きになる親しむは、探究するということです。

 

例えば、漢字の成り立ち、形、漢字遊びなどがあります。ポイントは楽しみながら自然と漢字をたくさん読み、書くということです。

 

探究の学びも非常に大事です。暗記だけだと、学ぶことが辛くなるからです。そして、頭を使って考えることは、思考力を養うからです。そして、何より楽しい。

 

寺子屋のプロジェクトは、探究する漢字です。こんなことをしています。

 

【お経を作ろう】

寺子屋の今のプロジェクトのテーマは漢字です。

寺子屋サポータでもある千葉大学名誉教授 首藤久義さんの本を参考に、オリジナルお経作りをしています。お寺だけに!!

ことばがひろがる Ⅰ

ことばがひろがる Ⅰ

 

 牛丼大好
親子丼大好
焼肉大好
蒟蒻大好

こんな風に、自分が使いたい漢字を並べて、お経風に読み上げます。

お寺ですので、鐘も本格的です。昨日、ちょっとやりましたが、大盛り上がり。これ楽しい!

漢字というと、学年配当ばかり目が行きがちですが、使いたい時に学ぶのが正解です。

なので、このような学び方だと、いろんな漢字を自然と調べて書いていきます。

お経をアレンジするなんて罰当たりと和尚さんに言われそうですが、僕も和尚なので大丈夫ですwww

 

大人の背中vol.7 山岳ガイドの河合宗寛さんと

子ども達が、ユニークな生き方をしている大人と出会う企画  「大人の背中」も7回目となりました。

 

新年度1回目です。今回は、山岳ガイドの河合宗寛(ムネ)さんをオンラインでお招きしました。

 

宗は大学の同級生です。ボクは教師の道を、彼は冒険教育の道へ。

www.obs-japan.org

大人になってからFacebookで再会し、宗もボクと同じように青年海外協力隊員だったことも知りました。それぞれの人生模様は違っても、人の力を信じる志は同じように感じていました。

 

寺子屋には、自然を愛する生徒がいます。彼と宗を引き合わせたい。それが、宗を大人の背中に招待しようと思ったきっかけでした。

 

相談すると、すぐに快諾。なんだかとっても嬉しかったな。

 

打ち合わせをZOOMでしましたが、画面越しの宗はとても穏やかで充実した人生を歩んでいる感じがしました。

 

大人の背中の当日までに、寺子屋のみんなで宗が山岳ガイドをしたNHKの番組を見ました。

www4.nhk.or.jp

また、その番組内の話が心に沁みて・・・何度も見てしまいました。

 

山頂を目指すだけがゴールじゃない。その過程も味わってほしい。そんなことを語る彼は、とてもカッコよくて。

 

この番組を見て、子ども達は当日聞く質問をグループでたくさん作ってくれました。問い作りって大事!!

 

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そして、当日。

 

みんなとまずは自己紹介し合ってスタート。宗の穏やかな語りが場の雰囲気を作っていきます。

 

みんなからの質問タイム。

 

山で死を意識した時の話。その経験が宗にもたらせた変化。じーんとしました。

 

子ども達の表情が、どんどん話に引き込まれていくのが分かって、なんだか感慨深かったです。

 

最後は宗が暮らす長野県小谷村の話や、山の話を楽しいクイズで語ってくれました。

 

同じ日本で、同じ学校に行っていたのに、こんなにも人生が違うこと。

 

一人一人の人生がユニークで、幸福でありますように。

 

みんなで宗のところに遊びにいきたい!人生変わる経験がある気がするのです。

 

宗は個人の山岳ガイドとして独立しています。いろんな体験をカスタマイズしてくれます。ぜひ、連絡してみて下さいね!

 

みんなも、宗もありがとう!

 

mountainguide.kawaimunehiro.com

 

花祭り

新学期が始まりました。

 

みんな一つずつ学年が上がり、なんだか成長を感じます。

 

今年度も、子どもが生き生きと過ごす場を共に作っていきたいと思います。

 

小学生寺子屋初回は、花祭りです。

 

お釈迦さんの誕生日会です。

 

今回は、父である住職からお釈迦様の話を聞いて、みんなで甘茶をかけました。

 

なんだかほっこりした良い時間でした。

 

お花をお庭から持ってきてくれる子もいて嬉しい限りです。

 

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伊賀の街づくりのワークショップがしたい

【伊賀で街づくりのワークショップがやりたい!!】

NPO法人WAKUTOKI

wakutoki.org

友人の相内 洋輔と立ち上げた、ワークショップの企画・運営に特化したNPO法人です。

 

令和3年度は、寺子屋と、このNPOに集中していきます。

 

僕たちは、青山学院大学ワークデザイナー育成コースで一昨年出会いました。

wsd.si.aoyama.ac.jp

ワークショップっていろんなところで聞くけど何でしょうか。

 

「参加者がワークや体験を通して、学び合い語り合い響き合い、気付きや納得解に出会うこと」

そんな風に感じています。

 

実はこの伊賀の地域でも、ワークショップの先駆者である中野民夫(東京工業大学)の街づくりワークショップが行われていたことを知りました。

 

最も尊敬するワークショップデザイナーの彼がこの地を訪れていたことも感激です。

 

ワークショップの肝は、問いとグループサイズだという彼の考えも同意します。特に問いは大事です。

 

「2030年の伊賀の街を考えよう」

 

こういったテーマで、地元のリソースを使い街づくりをする際だと、次のようなこともできそうです。

 

住民参加型と仮定すると
①「伊賀のよいところは?」
②「伊賀をもっとこんなところにしたい」
③「もっと良い地域を実現するために大切にしたいこと」

こんなことを対話しながら、街づくり企画をするのもいいかもしれません。

 

他にも、

①「伊賀のよいところ探しのフィールドワーク」
②「今後10年で伊賀の街に体験させてあげたいこと」
③「2週間以内に踏み出す一歩を決める」

こんな展開もいいかもしれません。

 

主人公は市民一人一人であるなら、一人一人の創造性や智慧を分かち合える場を作っていきたいと思うのです。

 

創造性や智慧を分かち合うには、場が必要です。それをコーディネートするのがボクたちの仕事です。

 

NPO法人WAKUTOKIは代表の相内の故郷、東北の地がメインの活動場所です。彼自身、フリーランスとして街づくりからリーダーシップなど多くの自治体や団体、企業の委託を受けてきています。

 

彼からボクが学ぶことは、めちゃくちゃたくさんあり、愉しいです。

 

伊賀のこの地にも、ワークショップという文化を根差して、一人一人が主役になって街づくりをしていきたい。

 

何よりワークショップは楽しい。縁と縁がつながり広げていける。

 

そこが魅力です。

 

興味があるという方、ぜひお声かけ下さい。

 

ボクがファシリテーターとして大事にしているのは、ユーモア、信頼、多様性、そして呼吸です。呼吸を整えることで、今に集中できる。力を引き出すには、今に集中する。あるがままの自分と向き合うことは不可欠だと思っています。

 

ワークショップは、年齢、性別、国籍などを超えた世界です。多様だから新しいものが生まれると信じています。

 

ハートフルなたこ焼き屋さん ともさん

今日は、伊賀に暮らす魅力的な方を紹介します。

 

その人は、ともさんです。寺子屋に通う子どもの保護者の方の紹介で出会ったのは秋のことだったと思います。たこ焼き屋さんです。

 

でも、ただのたこ焼き屋さんではありません。

 

平日はサラリーマン。そして、休日は、恩送りをするたこ焼き屋さんです。

 

大人が購入したたこ焼き代を、そのまま子どもへのたこ焼き代にするというたこ焼き屋さんです。その他にも、ルーレットなど子どもがワクワクするようなしかけがたくさんあります。

 

移動する駄菓子屋さんとも言えるし、子ども食堂とも言えます。

 

金銭的な利益のためでなく、心を豊かに地域が豊かになるために活動されている姿は、ほんとカッコいいなって思います。

 

秋には、お祭りに出店していただいたこともあります。

iga-daisenji.hatenablog.com

そして、昨日はお寺の駐車場に出店してくださいました。ともさんにとっても、うちにとってもwinwinです。これ大事。

 

ともさんにとっては、広いスペースで自分のやりたいことができるし、うちも地域の遊び場を街中に作ることで、子どもたちが楽しめるお寺になっていきます。

 

ボクら2人の共通点は、子どもたちが安全に楽しめる場を作りたいということです。そこがあるから、つながれます。

 

昨日は桜も綺麗でした。寺子屋の子供たちだけでなく、地域の子ども達や娘の幼稚園の子ども達など、多くの子が立ち寄ってくれました。

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子どもが大人に見守られる街づくり。それには、場が必要です。

 

これからも、子ども達がたくさん遊んで笑顔になる、そんな地域のお寺でありたいなって思います。

 

ともさん、口コミで広げてくれたみなさん、いらっしゃった方々、ありがとうございました。

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子どもとの関わり方を学ぶ

「学校でね、こんなことがあったんだよ。」ぽつりぽつり話してくれた子がいます。最後まで、話を聞き切ることを大切にしました。すると、笑顔になって遊びにいきました。

 

この子にいったい何が起こったのでしょうか?

 

先日、教員時代の後輩から、夜に電話がかかってきました。内容は、高学年の子ども達との人間関係で悩んでいるようでした。

 

若い教員にとって、高学年の子どもとの関係づくりは最初はとても難しいといわれます。

 

距離が近くなりすぎたり、遠くなりすぎたりして信頼関係が薄れてしまうことも結構あります。

 

ボク自身も、教員一年目で担任した5年生の子ども達との関係で悩んだことを覚えています。(今思えば、学級もぐちゃぐちゃでした・・・)

 

電話で話を聞いて、とりわけアドバイスみたいなことはできませんしでした。

というのは、ボクの経験や関わり方が、彼に当てはまるとは限らないと思ったからです。

 

それではなく、関わり方の基となる考え方を紹介しました。それは一冊の本です。学校カウンセラーで明治大学教授の諸富祥彦さんの本です。数多いる教育学者の中で、諸富さんはボクが信頼を置いている心理士です。彼の著作や、研修で実際に会って話を聞いていく中で、この人は信頼できる人だと思うようになりました。

 

・聴き切ること

・アイメッセージで伝える(アサーション

 

彼の豊富な臨床経験から導き出されている関わり方です。当たり前のことと思うのですが、これが案外難しいのです。

 

子どもと話していると、こうしたらいいのにとかアドバイスすることが思い浮かんでしまったりします。これは、話すことを考えているので、聞いているようで聞いていないのです。

 

娘の話を聞いているようで聞いていないこと多々あります(涙)反省です。妻の話を聞いていなくて、よく叱られます。(涙)

 

アイメッセージもなかなか難しい。例えば、鉄棒ができた子に、「すごいねー」って言います。これはこれでもちろんいいのですが、アイメッセージにすると「すごいね。練習しっかりしてたもんね。頑張っていて先生は嬉しいな。」となります。

 

同じように見えますが、アイメッセージは、褒めるだけでなく、努力した過程を認めています。こうなると、褒められるから頑張るではなく、努力するよさ、やり切る良さを実感していくと多くの研究から分かっているようです。

 

聴き切ることも、アイメッセージも、子どもの目線になって考えていることがベースです。なんとか、目の前の問題を解決したいと思う後輩に伝えたいと思ったのは、子どもの目線になった解決策を考えることと、具体的な関わり方の引き出しを学んで増やして欲しいということでした。

 

教育に関わっていると、もちろんたくさんの子どもに出会いますし、ケースにも出会います。その一つ一つが、その子だけのものです。正直、いつも試行錯誤です。良くない関わり方をしてしまうことだってあります。子どもとの関わり方に正解はありません。

 

でも、日本にも世界にも教育に関する知識や方法の蓄積があります。どのように関わり、共に考えていくのか。ボク自身も学び続けていかないといけないと思った後輩の相談でした。

 

最後に、諸富祥彦さんの本を紹介しておきます。諸富さんは教師・カウンセラー向けの専門書から、子育てに関する一般書まで幅広く書かれています。読みやすい本を紹介しておきます。子どもとの関わりのヒントがたくさんあります。

「とりあえず、5年」の生き方

「とりあえず、5年」の生き方

  • 作者:諸富祥彦
  • 発売日: 2010/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

子育ての教科書 ―0歳から大人になるまで親がすべきこと―

子育ての教科書 ―0歳から大人になるまで親がすべきこと―

  • 作者:諸富祥彦
  • 発売日: 2015/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

タイトルは一見、how to本に見えますが、できるだけ多くの人に読んで欲しいというところからこのようなタイトルなのだと思います。平易な文章ですが、それを支える理論、臨床経験ともにしっかりしているので、安心して読むことができると思います。

 

一つの参考までに

大人の背中 vol.6 〜横浜国大 石田喜美さんと〜

中学生の寺子屋では、子ども達の世界の可能性をどんどん広がることを期待して、ユニークな大人の方をゲストに学ぶ日があります。

 それが、大人の背中です。

 

今回は、研究仲間でもある横浜国大の石田喜美さんに来ていただきました。喜美さんには、現職時代も授業を見に来ていただいたり、喜美さんところの学生さんを、うちの学校で受け入れたりと楽しくさせてもらっています。

 

学会で発表したこともありました。これも面白かったなぁ。

kimilab.hateblo.jp

喜美さんには寺子屋サポーターもお願いしていて、いろんなアイデアをいただいています。とにかく、面白い人です。

 

今回は、中学生と国語のワークショップです。

 

まず最初に、変顔マッチをしました。ダイソーに売っているそうです。

 

これは、カードに表情が書いてあって、その表情を親以外の人がして、親が当てるというゲームです。うちのみんなの良いところは、こういうのをめっちゃ楽しめるところです。この日もめっちゃ楽しんでいる姿がありました。

 

国語の授業で、何で変顔??子ども達も、びっくりです。

 

外国籍の子も学校にはいる。言葉だけの授業じゃ分からない。伊賀の子ども達は、日常的に外国籍の子が多く、そのことをよく実感しています。

 

言葉だけじゃないコミュニケーションのあり方を考えるきっかけになったワークでした。

 

続いては、たほいやゲームです。

 

これは、辞書に載っている言葉の意味を、それっぽく書いていってクイズにするゲームです。

 

例えば、「こい」という言葉

 

一つだけ辞書の意味で、他は子どもが考えた意味でした。どれが本物か分かりますか?

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子どもたちが自然と言葉の意味を吟味していました。その子のこれまでの経験、知識、感性が表れるなぁと思いました。

 

異性と同性という言葉をLGBTの観点から、問いを作っている子もいます。

 

ボクはこのゲームを通して、言葉を吟味する姿を見て、大人も子どもも学習者としては、全く同じ立場だと思いました。教える、教えられる関係を超えた学びがそこにありました。

 

みんなにとって初めての大学の授業でした。楽しくも一つ一つに意図があり、アカデミックな要素もある喜美さんの授業が最初の出会いで嬉しかったなぁ。