寺子屋 大仙寺の日々是好日

三重県伊賀にあるお寺。大仙寺の寺子屋ブログです。探究型の寺子屋です。HP → https://www.iga-daisenji.org/

学力をつけるということ

学力をどうつけるのか。今も昔も話題に上がることです。

 

中学であれば、学力を高めていくことが、受験に直結します。

 

自分の目標に合わせて、どれぐらいの学力が必要なのか、そのために何をしなければいけないのか考え実践することは、中学生にとって大切です。

 

中学のことはまた、違う機会で書くとして、今回は小学生の学力について書きます。

 

「先生は、できた、できないで、みんなのことを褒めたりはしないよ。そうじゃなくてね、その子が成長しているかどうかが大事だと思うから。」

 

教員時代、必ず4月の最初に子ども達に話していました。というのは、一人一人違うからです。当然、性格が違うように学力だって違います。それをみんな一緒のように考えてしまうと、その子の成長の芽を摘んでしまうと考えていました。

 

子ども同士を比べるのではなく、その子がいかに成長しているか、そのことに目を向けたいと思っていました。

 

自分ができるようになった実感をもつこと。そして、基礎学力が高められること。勉強面に関しては、そのことを大事にしていました。

 

小学校から中学校につながる学力としては、大きく分けて二つがあります。

 

それは、漢字と計算です。

 

ここさえ高めておけば、中学に必ず活かせられます。

 

小学生の勉強の仕方も、基本は学校の授業・課題をしっかりやることです。中学も同じです。中学の場合は、受験に向けて学校も考えてくれているので、学校の課題を繰り返しやるのが一番力がつきます。

 

小学校の場合は、余裕があれば基礎学力を高めることをプラスしても良いかもしれません。

 

オススメは二つです。百ます計算と、漢字学習です。

 

立命館大学陰山英男さんの学習法が、学力を高めるにはとても良いと思います。

 

なぜか?

 

それは、他者と比べるのではなく、自分の成長にフォーカスしているのと、負担なくできるからです。集中して短い時間で取り組むから、力がつくし、継続できます。

 

いろんな問題をするよりも、同じ問題を何度もする方が力がつくという脳科学の知見が詰まっています。

 

脳の仕組みとして、忘れるということがあります。エビングハウス忘却曲線という理論が有名です。これは、人は忘れてしまうことを理論的に説明したものです。

 

だから、忘れそうになったらもう一度覚えることが大事です。つまり反復するということです。反復は結構大変です。だから、短い時間で集中するのが良いといわれます。

 

百ます計算は、2週間同じ問題をします。時間も測るので、どんどん早くなっていくことが実感できます。

 

 

 

 

寺子屋オリジナル詩集「ものみな金色」ができました。

10月の寺子屋のプロジェクト学習は、「オリジナル詩集を作ろう」でした。

 

ようやく編集が完了し、出版となりました。

 

寺子屋サポーターの、横国の石田喜美さんや、千葉大の首藤久義さんの助言もあり、一風変わった詩の創作となりました。いや、むしろこれが普通だったのかもしれません。

 

まず最初に、ボクが書いた詩や、ネット上にある子どもが書いた詩や、詩人の詩などを読みました。みんなで読むというより、自分の好きなものを好きなように読みました。

 

それを書き写したり、言葉を変えて作り直したり。こういう作り直すことを首藤さんは翻作と呼んでいます。

 

それだけでなく、いろんな本や記事から気になる言葉を引っ張ってきて、パッチワークのように並べている子もいます。

 

もちろん、0から自分で考える子もいます。

 

多様な書き方を選択して書いていきました。

 

シンプルな実践ですが、とても奥が深いです。いい授業はシンプルになる。シンプルというのは、一緒のことをするという意味ではなく、子ども一人一人の選択が尊重されるということです。

 

これは学習の個別化とかいう流行りの言葉では収まりきりません。別に個別化しているわけではないのです。やりたいことをやる。超シンプル。

 

そして、詩の表紙は寺中有希さんに書いていただいたものです。有希さんの優しいイラストが多くの人に届いてほしいと願っています。

 

ここから詩集がダウンロードできます!!自由に使って下さい。なんていってもフリーペーパーですから。

 

 

www.iga-daisenji.org

 

 

 

寺子屋サポーター

寺子屋の授業やプロジェクトをサポートしてくれているのが、寺子屋サポーターです。

 

ボクの相談にのってくれたり、子ども達にワークショップをしてくれたり、頼りになる先輩であり仲間です。

 

これまで、千葉大学の首藤久義さんと、横浜国大の石田喜美さんの二人にお願いしてきました。

 

首藤さんは、ボクが教員時代に本を読み感銘し、すぐに連絡をさせていただき、千葉の自宅まで押しかけたことが付き合いの始まりです。

 

「育つのは子ども」

 

ボクの教育者としての信念を育ててくれた恩師です。今も、毎月2回、読書会をしています。

 

首藤さんの著書は教員は必読です。

 

喜美さんは、ボクが横浜の先生達としていた学習サークルのイベントに、参加者としていらっしゃっていたことが出会いの始まりです。

 

それからも、勤務していた学校に授業を見にきてくれたり、喜美さんの大学の学生をうちの学校で受け入れたりと仲良くさせていただいていました。

 

何より、ボクにはない独特の感性で、子ども達と関わってくれるのが嬉しくて嬉しくて。

 

思い出の一番は、お声かけいただいて学会で発表させていただいたことです。詳しくは、こちら。

 

kimilab.hateblo.jp

 

喜美さんからたくさんの智慧をいただいています。

 

そして、今年に入り三人目の寺子屋サポーターが増えました!!一緒に活動したいと思わせてくれる仲間です。

 

同じ伊賀市に住むフードコーディネーターの、なかともみさんです。

www.tableworks-naka.com

 

インスタをフォローしてくださっていて、寺子屋の活動に興味を持ってくれていたようです。ともみさんの妹とボクが知り合いだったこともあり、お会いすることに。

 

自分の言葉で食のことを語られる姿に、ビビッときました。

 

11月の南無フェスでは、子ども達と豚汁やサラダを作ってくれました。学校の調理実習が無い子ども達にとっては貴重な経験になりました。みんなで食べるのも最高でした。

iga-daisenji.hatenablog.com

 

これから寺子屋サポーターのみなさんと、どんなことが生まれるか楽しみです。

 

www.iga-daisenji.org

 

 

 

死の体験旅行を開催しました。

死の体験旅行を開催しました。

 

死の体験旅行は、病気になり死に向かっていく主人公の物語に自分を重ねながら、人生の取捨選択を経験するワークショップです。

iga-daisenji.hatenablog.com

気づけば、大仙寺で行うのも5回目です。今回は全員が県外からの参加でした。新しいご縁をいただけることが嬉しいです。

 

おそらく伊賀に来ることが初めての方もいるでしょう。ちょっとした伊賀の銘菓をお土産にお渡ししました。美味しくいただいてくれていたらいいな。

 

今回も開催して良かったと思いました。終わってから握手をしてくれる方もいました。

 

これはボクがすごいのでしょうか?全く違いますね。2時間のワークショップの中で、自分なりの気づきを得ることができた参加者の方が素晴らしいんです。

 

死について真面目に考えてみることで、自分が大事にしたいことが明確になってくる。死の体験旅行を体験された方の多くがおっしゃることです。

 

ぞうさん」などの歌謡曲で知られる、まどみちおがこんなことをおっしゃっています。

 

「一日、一日、朝目が覚めて夜眠る。この繰り返しが人生あるが、これは毎日毎日、死ぬ練習をしているに違いない。」

 

若い時、元気な時、僕たちは自分のいのちが無条件で続いていくと思うものです。ボクもそうです。明日いのちが無くなるなんて思っていません。

 

それが普通の感覚でしょう。でも、ボク達のいのちはシャボン玉のようにいつ消えるか分からない脆さを抱えていることも知っています。

 

だからこそ、一日一生、今日が一日が自分の一生という気持ちを忘れずにいたいと思うのです。

 

今日が最後のいのちある日だとしたら、何をするのでしょう。

 

今回の死の体験旅行でも、参加者の大切な人生に触れることができました。ボクは毎日、出会った方々の幸せを祈っています。

 

大切な人たちが、また一人増えました。

コピーライティング講座

12月5日(日)に、コピーライターの坂口健一郎さん(通称:フンコロさん)と子ども達で、南無フェスのコピーを考えました。

 

小学2年生から中学1年生まで幅広い子ども達が参加しました。

 

「コピーライティングって何だろう?」と思っていた子ども達も、講座が終わった時には、キッズコピーライターになっていました。

 

「頭使いすぎてお腹すいたー。」こんな感想からも子ども達が学びを深めている様子が分かります。

 

フンコロさんの講座はこんな感じで進めていただきました。

 

① フンコロさんの自己紹介

② コピーライティングって何?

③ 南無フェスのコピーを3ステップで作ってみよう!

 

坂口さんがどうして「フンコロ」って名乗るのか。一気に子ども達が惹きつけられます。子ども達の緊張もほぐれます。

 

次に、いくつかの有名なコピーを提示してもらいながら、コピーライティングのイメージを膨らませていきました。例があるととっても分かりやすいですね!

 

そして、いよいよ南無フェスのコピーライティング!!

 

南無フェスは、毎月、お寺でしている縁日のことです。寺子屋の子達が企画・運営しています。

iga-daisenji.hatenablog.com

南無フェスのうりや、他のお祭りの違いなどを話し合いながら、伝えたいことをブラッシュアップしていきました。

 

できたコピーがこちら!!

 

・子ども達がメインのお祭りへようこそ

 

・安くておいしい大仙寺のお祭りへ

 

・元気いっぱいオリジナル店〜大仙寺のお祭りへ〜

 

どれも素敵です!!次は、このコピーをもとにポスターを作ります。企画・運営・広報まで子ども達でやるから盛り上がるんですよね。荒削りでいい。そう思うのです。

 

フンコロさん、子ども達、素敵な学びをありがとう。

f:id:iga-daisenji:20211219193656j:plain

 

寺子屋の子ども達と、南無フェス開催!!

昨日は、月一回の南無フェスでした。

f:id:iga-daisenji:20211128142519j:plain

南無フェスは寺子屋の子ども達が、自分たちで企画運営するお祭りです。

 
自分たちの遊び場を自分たちで作ってほしいという願いを込めています。
 
「南無フェス今から始めまーす!」
「出ました!最高得点!!」
 
子ども達の大きな声が、伊賀の街に響きます。
 
幼稚園の子もたくさん来てくれて、ほのぼのした雰囲気でした。
 
来場者は200人以上はいたかと思います。大忙しの中でも遊び心を忘れない子ども達を尊敬します。
 
ぼくは忙しいとイライラしちゃいますから。
 
今回は、南無フェスと同時に別の企画もしていました。
 
それは、「お寺の調理実習」です。
 
寺子屋の子達は、朝早くから昼過ぎまで南無フェススタッフとして活動しています。
 
これまでお昼ご飯は、妻が作ったり、たこ焼き屋さんのたこ焼きをいただいたりしてきました。
 
コロナが落ち着いてきたので、自分たちのご飯は自分たちで作ってほしいと考えました。それに、調理実習が学校で行われていないという実情もあって、体験させたかったのです。

 

そんな時に、食をテーマに「自然や人のつながり」を取り戻していく活動をされている中智美さんに出会いました。
 
中さんと一緒に活動したいと直感で感じました。子どもが幸せになっていくイメージができたからです。
 
「お寺の調理実習」の先生は、中智美さんです。子ども達は、初めて中さん(ともちゃん)に会ったにも関わらず、すぐに打ち解けていました。
 
子ども達は自分たちで作り、みんなで食べる昼食時間が楽しくて仕方がなかったようです。

f:id:iga-daisenji:20211128142319j:plain

f:id:iga-daisenji:20211128142348j:plain

 

全て終わってから、妻とともちゃんと三人でお茶をしました。
 
「子ども達がどんどん自分たちでする姿に感動しました。」
 
ともちゃんの言葉が全てを物語っています。
 
子どもの姿を語り合いながら飲むチャイは、とても美味しかったです。
 
中智美さん(ともちゃん)の活動はこちらです。
 

死の体験旅行®︎とは

大仙寺でも定期開催されている「死の体験旅行®︎」とは、どんなワークショップなのでしょうか?

 

「死の体験旅行®︎」の原型は欧米のホスピスで生まれました。死に向かう患者の気持ちを理解するために、医療従事者向けに開発されたワークショップです。

 

一般の人も受講できるように、日本の僧侶や医療関係者が「死の体験旅行®︎」を開発しました。

youtu.be

 

「死の体験旅行®︎」では、擬似的に死を体験します。といっても、棺桶に入るとかそういう類のものではありません。

 

病気になり死に向かっていく主人公の物語に、自分自身を重ねていくのです。

 

死に向かっていく中での、いくつもの別れを体験します。

 

参加された方の多くは、涙を流します。

 

そして、今の自分にとって大切なことや人に気づいていきます。

 

ワークの後は、参加者で今の気持ちを共有します。

 

この時間が、さらに自分の死生観を深めてくれます。参加者の心に触れ、とても温かく穏やかな時間が流れます。

 

死を見つめることで、よりよく生きたいと願う自分に出会えます。

 

非日常の空間で、日常を俯瞰して見る、そんなイメージでしょうか。

 

あなたも「死の体験旅行®︎」に参加してみませんか?