「学校でね、こんなことがあったんだよ。」ぽつりぽつり話してくれた子がいます。最後まで、話を聞き切ることを大切にしました。すると、笑顔になって遊びにいきました。
この子にいったい何が起こったのでしょうか?
先日、教員時代の後輩から、夜に電話がかかってきました。内容は、高学年の子ども達との人間関係で悩んでいるようでした。
若い教員にとって、高学年の子どもとの関係づくりは最初はとても難しいといわれます。
距離が近くなりすぎたり、遠くなりすぎたりして信頼関係が薄れてしまうことも結構あります。
ボク自身も、教員一年目で担任した5年生の子ども達との関係で悩んだことを覚えています。(今思えば、学級もぐちゃぐちゃでした・・・)
電話で話を聞いて、とりわけアドバイスみたいなことはできませんしでした。
というのは、ボクの経験や関わり方が、彼に当てはまるとは限らないと思ったからです。
それではなく、関わり方の基となる考え方を紹介しました。それは一冊の本です。学校カウンセラーで明治大学教授の諸富祥彦さんの本です。数多いる教育学者の中で、諸富さんはボクが信頼を置いている心理士です。彼の著作や、研修で実際に会って話を聞いていく中で、この人は信頼できる人だと思うようになりました。
・聴き切ること
・アイメッセージで伝える(アサーション)
彼の豊富な臨床経験から導き出されている関わり方です。当たり前のことと思うのですが、これが案外難しいのです。
子どもと話していると、こうしたらいいのにとかアドバイスすることが思い浮かんでしまったりします。これは、話すことを考えているので、聞いているようで聞いていないのです。
娘の話を聞いているようで聞いていないこと多々あります(涙)反省です。妻の話を聞いていなくて、よく叱られます。(涙)
アイメッセージもなかなか難しい。例えば、鉄棒ができた子に、「すごいねー」って言います。これはこれでもちろんいいのですが、アイメッセージにすると「すごいね。練習しっかりしてたもんね。頑張っていて先生は嬉しいな。」となります。
同じように見えますが、アイメッセージは、褒めるだけでなく、努力した過程を認めています。こうなると、褒められるから頑張るではなく、努力するよさ、やり切る良さを実感していくと多くの研究から分かっているようです。
聴き切ることも、アイメッセージも、子どもの目線になって考えていることがベースです。なんとか、目の前の問題を解決したいと思う後輩に伝えたいと思ったのは、子どもの目線になった解決策を考えることと、具体的な関わり方の引き出しを学んで増やして欲しいということでした。
教育に関わっていると、もちろんたくさんの子どもに出会いますし、ケースにも出会います。その一つ一つが、その子だけのものです。正直、いつも試行錯誤です。良くない関わり方をしてしまうことだってあります。子どもとの関わり方に正解はありません。
でも、日本にも世界にも教育に関する知識や方法の蓄積があります。どのように関わり、共に考えていくのか。ボク自身も学び続けていかないといけないと思った後輩の相談でした。
最後に、諸富祥彦さんの本を紹介しておきます。諸富さんは教師・カウンセラー向けの専門書から、子育てに関する一般書まで幅広く書かれています。読みやすい本を紹介しておきます。子どもとの関わりのヒントがたくさんあります。
タイトルは一見、how to本に見えますが、できるだけ多くの人に読んで欲しいというところからこのようなタイトルなのだと思います。平易な文章ですが、それを支える理論、臨床経験ともにしっかりしているので、安心して読むことができると思います。
一つの参考までに