寺子屋 大仙寺の日々是好日

三重県伊賀にあるお寺。大仙寺の寺子屋ブログです。探究型の寺子屋です。HP → https://www.iga-daisenji.org/

一人ひとりが生き生きする学び方

子ども一人ひとりは個性があり、一人ひとり違う育ちのペースがあります。そのペースを無視して、全員同じでないといけないと考えてしまうと、かえって育ちを邪魔してしまいます。

 

この学年の子は全員、これを習得しなければいけないと考え、全員に同じ課題を与え同じ結果を求めてしまう。ボクも教師になりたての時は同じように考えていました。自分が受けた教育がそうだったからです。

 

「教育者は、自分が受けた教育を再生産してしまう。」

 

でも、時代は変わっているわけです。従順で組織の歯車になる人材が求められている時代ではありません。組織に属しながらも、自分らしく生きたいと願う時代です。

 

教育も当然、形が変わっていいのです。量をこなすことが能力を高めることは否定できません。しかし、意味のない繰り返しでは力はつきません。

 

大切なのは、その子に即した学びです。

 

個人差が問題になる教室はよい教室ではないというのは、国語学者の首藤久義さんの言葉。ボクもそう思います。多様な活動が同じきょうしつで同時に行われているような学びは、人と比べなくてよい教室になります。

 

大切なのは、その子自身の学びです。

 

寺子屋で大切にしていることです。

 

 

ことばがひろがる Ⅰ

ことばがひろがる Ⅰ

 

 

手を合わすということ

あけましておめでとうございます。

今朝は修正会でした。修正会はお寺の初詣のようなものです。8:00から檀家さんや近所の方、10:00からは寺子屋の子達です。

 

こうやって奇跡のような出会いで集ったみんなで、新年を祝えることは幸せです。生きているこの不思議に感謝する。コロナも含め自分たちの思い通りにはいかないことがたくさんあります。そして、不安になったりイライラしたり。

 

でも、思い通りにいかないことがボクらの日々を彩ってくれているともいえます。今年、どんな出会いがあるのか、どんなことがあるのか、一つも予定されたものはありません。そして、その出会いが僕たちを照らしてくれることも事実です。

 

手を合わすということは、こうやってつながりの中で生きていることに感謝すること。ありがとうを表すことだと思っています。

 

何も手を合わす形が大事なわけじゃない。心の中でそっと、ありがとうって呟くことだって、手を合わすということなんだと思います。

 

大仙寺の寺子屋には原型があります。これは、ばあちゃんがしていた日曜学校や習字教室です。ばあちゃんはいつも言っていました。

 

「一人ひとりの心の中に仏さんがいるんや。だからな、どんな子であっても素晴らしいんだよ。」

 

僕たちは一人ひとり、たくさんの宝物に毎日触れています。友達と笑い合うこと、素敵な本に出会うこと、悔しいこと、悲しいこと、もう全部です。どんな出来事も感情も、あなたが今ここにいるから、素晴らしいから生まれる。

 

ここに今いること。それだけで、もう花丸です。

 

生まれることが自分で選べないように、死んでいくことも自分では選べない。でも、この地球に生まれたこと、ここにいることの証は縁となってずっと生き続ける。

 

明日はばあちゃんの墓を掃除しようと思います。ばあちゃんは、亡くなる時だって、心の中でそっと手を合わせていたと思うのです。

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一年の振り返り

【ZENタイルで振り返り】

いただいたZENタイルで一年を振り返る。

 

振り返る時は誰にも遠慮なく振り返るのがいい。考えずに感じたままに。意味は後づけで。

 

ZENタイルの使い方を勝手にアレンジして、一年でやります。

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嫌・怒・独は、春先です。これは、Uターンして家が工事中で、狭い家に両親とうちの家族が同居中で、母といざこざが絶えませんでした。独っていうのは、妻が働き、子どもたちは保育園。ボクは無職。そういう自分にイライラしていた時間です。

 

寂・疲は11月あたり、体調も崩したりした時のこと。疲れが出たのでしょう。なんだか寂しかった。

 

感・美は夏前ですね。これは石田 喜美さんと母校の横国の学生のみんなとワークショップをしたこと。学生のみなさんの心に触れて感じたこと、とても美しい時間でした。今も心がポカポカします。

 

望・愛・緊・驚・熱は夏に寺子屋をスタートさせたことです。これからに希望をもっていました。幼馴染みの力があって、夏の寺子屋は13名集まりました。これが原型です。友人の愛も感じ、感謝です。緊は初めての授業もそうだし、集まるかなぁというドキドキもです。驚はたくさん来てくれたこと。そして、伊賀の子ども達のたくましさも。熱は、子ども達と向き合う自分の軸に対して。

 

「一人一人がユニークな存在として、生き生きとすごしてほしい。」

 

味・笑・楽は、幼馴染みとの楽しい時間。この頃はコロナも落ち着いていたのでしょう。うちで、ぶりをつまみにしこたま飲みました。楽しかったー!

 

幸・癒は今、この瞬間。そばに妻がいて、子どもがいて、近所の人がいて、寺子屋のみんながいて、この瞬間が幸せです。

 

恥・妬・怖はあまり感じませんでした。自分の力ではどうしようもないこと。そんなことがいっぱい僕らの周りにあります。誰と出会うかだって選べない。嫌なことも良いことも、日々を彩ってくれる。

 

今、生きている不思議を拝む

 

ありがとうって一年最後に手を合わして今年も終わります。

 

ありがとう!!

 

来年は寺子屋、お寺、そしていよいよ認可がおりるNPO法人WAKUTOKIと共に過ごしていこうと思います。

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ラッパー古渓光大さんと「大人の背中」

12月23日(水)に「大人の背中 vol.3」をしました。「大人の背中」は、寺子屋に参加している中学生が、こだわりをもって生きている大人の方と出会うという学びです。

 

みんなが思っている以上に、世界は広いこと。そんなことを感じてもらえたら嬉しいなって思います。

 

今回はラッパーであり、僧侶であり、サラリーマンの古渓光大(ふるたにこうだい)さんにゲストで来ていただきました。

 

ボクより一回り年下の彼ですが、ボクが尊敬する人です。彼については、彼岸寺というwebサイトへの連載で書いています。

higan.net

一流企業のサラリーマンでありながら、今月で退職し、新しい道を切り開いていく光大さん。その生き方や決断にはどんな出会いや揺らぎがあったのか、そんなことを話してくれました。

 

まずは、みんなで自己紹介。結構派手目な光大君のシャツに興味津々。最初は、光大君の話。自分がいつも人と比べて生きてきたこと、それに勝つことが目標になっていたこと。でも、比べることを手放し、自分をもっと大切にしてあげたい、自分がチャレンジしたいことに取り組んでいきたい。そんなことを熱く語ってくれました。

 

「みんなだっていろんなことあるけど、みんなが今ここにいる、それだけで最高なんだよ。」

 

そんな言葉は、中学生への優しいエールになったことでしょう。

その後はいよいよラップです。今回は彼のラッパーとしての活動に注目したかったんです。めちゃかっこいい!自分の内面の葛藤を言葉にしていくのが彼のラップ。みんなで彼のPVを見ました。

youtu.be

「かっこいい!」素直にそんな言葉もありました。等身大で生きようとする姿。いいなぁ。

 

次は、子ども達が選んだ言葉で即興でラップを披露してもらいました。最初のお題は「2020年というと?」コロナやマスクなどの今年らしいワードも光大君にかかると、メッセージ性のあるかっこいいラップになります。

 

2回目のお題は、みんなに任せました。みんなが選んだのは、自分たちが好きな◯◯。蛍光ピンク、ギターなどなんだかいろんな言葉が乱立しましたが、かっこいいラップになりました。

 

「人と比べているのが自分と同じだと思った。」そんな感想もみんなからありました。世界は広い。そんなことを感じられる時間になったと思います。

 

光大くん、ありがとう。こうやって、寺子屋での自分探し、自分磨きの日々は続いていきます。ボクもみんなと同じように、自分探しをし、自分を磨いている最中です。切磋琢磨しながら、成長していきたいと思います。

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寺中有希さんと大人の背中

12月16日(水)に「大人の背中 vol.2」をしました。「大人の背中」は、寺子屋に参加している中学生が、こだわりをもって生きている大人の方と出会うという学びです。

 

みんなが思っている以上に、世界は広いこと。そんなことを感じてもらえたら嬉しいなって思います。

 

今回は、プロジェクトアドベンチャージャパンの寺中有希さんにオンラインで参加していただきました。寺中有希さんは、会社の仕事とは別に、まんぷく食堂というアート活動もされています。

mampuku-shokudo.amebaownd.com

ボク自身も、プロジェクトアドベンチャージャパンのワークショップで有希さんと出会いました。その縁で、居ドコロ新聞を書いてもらいました。これは、有希さんと対話しながら、ボクの内面を有希さんが言葉とイラストで描いていくというものです。寺子屋を始める前に描いていただいたことで、何を大切にしていくかが見えてきました。

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その他にも、お寺のイラストも描いていただいたりしています。

iga-daisenji.hatenablog.com

ボクは何より、彼女の世界観がとても好きで、なんだかほっこりします。有希さんのイラストも大好きです。あるがままを生きようとする有希さんの魅力に触れてほしいと思い、ゲストに来ていただきました。

 

子どもたちは事前にイラストを見ていたので、イラストレーターの方が来ることにワクワクしていました。初めてのオンラインでのワークショップ、緊張しながらも楽しみにしていることが伝わります。

 

まずは、しるらないカードを使って自己紹介をしました。今の自分の感じに合うイラストを選んで喋ります。このしるらないカードは、有希さんがイラストを担当したカードです。カードがあることで、自分を表現しやすくなります。ボクも学校で愛用していました。

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これかなぁ、あれかなぁと探りながらも、自分の感性で選び、言葉にしていく自己紹介はすっと心と心の距離が縮まったような気がしました。何より有希さんのファシリテートが柔らかい。

 

それから、有希さんのお仕事や大切にしていることをパワーポイントを使って紹介していただきました。このために準備していただいたことにも感謝です。子ども達の聞く姿も真剣です。

 

その後は子ども達の質問タイムがありました。「東京のどこに住んでるんですか?」みんな気になるよね。ボクも中学の頃は、関東にとても憧れていました。

 

最後に、ライブドローイング。子ども達と有希さんが対話しながら、その場でイラストを即興で描いていただきました。これには子ども達は感動。

 

自分が大事にしている言葉に合ったイラストを選び、対話していきました。ある子は、一度選んだカードがしっくりこず、さっと変えていました。これは、自分にこだわりをもっている姿そのものだと思います。素敵です。出来上がったイラストがこれです。

 

自分の内面に向き合うには時間や場が必要です。有希さんとの時間はまさにそんな時間でした。家に帰ってからも、このワークショップがとても楽しかったと家族に話している子もいたようです。

 

ちなみにボクが選んだ言葉は宝。自分らしい宝をたくさん見つけて、育ってほしい。そんな願いを込めました。

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お寺で遊ぼうvol.3 〜おてらにねむる おたからを さがそう〜

お寺で遊ぼう第三回目をやりました。今回は、娘の園のお友達家族2組が参加してくれました。うちの娘は楽しみすぎて、寝れないと昨夜は遅くまで起きていました。

 

まずは、いつものように対話型の読み聞かせから。ツペラツペラさんのこれ。帽子を取ったらツルピカのとこってだいたい、予想が当たります。

ぼうし とったら (PETIT POOKA) 0~3歳児向け 絵本

ぼうし とったら (PETIT POOKA) 0~3歳児向け 絵本

  • 作者:tupera tupera
  • 発売日: 2012/07/03
  • メディア: 単行本
 

 次を予想しながら絵本を読むと、ぐっと絵本の世界が近づいてきます。本を読むときのベースになる力を育てていくには、とても良いなぁといつも思います。

 

その後は、境内で宝探しです。みんなで30個を探すというルールです。見つかったら遊びのチケットがもらえます。小さい子達なので、ゆるやかに協同して達成できることを考えてみました。最後の一個が見つかってホッとしている姿も楽しかったです。宝を探すって楽しい。今度は大人でもやってみたいなぁと思います。

 

それから、遊びのチケットをもらってヨーヨーすくいをしました。水が低くて取りにくかったです。朝、水めっちゃいれたのになぁ。あとで見てみると、栓が抜けていましたwww取るのは、なかなか難しかったけど、みんなすぐにうまくなりました。このヨーヨーはご近所さんにもらいました。

 

最後は、おうちの中を探検しました。子ども達はリカちゃんとかで自由に遊んでいました。お母さん達はお母さん達で楽しくお喋り。いい時間です。妻も楽しそうで何よりです。自由遊びの子ども達を見ていると、いろんな発見があります。「こっちの靴の方が可愛いよ。」遊びを通して、子どもがつながるっていいなぁ。こうやって、没頭して遊べるって、子どもってほんとすごい。うちの娘も、一緒に遊んでくれる友達がいるからこそ、成長しているんだなぁと感じる時間でした。みんな大切な存在です。

 

月一回のお寺で遊ぼうですが、人と人がつながる場所があることは、自分たちも元気をもらえます。参加してくださった方、ありがとうございました。次回は、1/17(日)です。

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生きることが楽しいにつながることを目指す。

子どもが生き生きすると、それを見ている親も嬉しくなります。ボクも同じです。幼稚園が馴染めなかった娘が、友達の話を楽しそうにしているそれだけで、嬉しくなります。

 

「放課後、楽しみに行っている姿を見るのが嬉しい」という保護者からのメッセージは、ほんと嬉しかったです。

 

楽しい、好きというのは全ての基本です。だって、それは生きることが楽しいにつながるから。生きることが楽しいという経験があることは、ずっと人生を下支えしていくから。

 

いつか、寺子屋から子どもたちは卒業していくでしょう。その時に、何か楽しい記憶や学びの記憶が残ること。そんなことがあれば、幸せだなと思います。