寺子屋 大仙寺の日々是好日

三重県伊賀にあるお寺。大仙寺の寺子屋ブログです。探究型の寺子屋です。HP → https://www.iga-daisenji.org/

かわいい子には旅をさせよう

かわいい子には旅をさせよ。

 

昔の言葉です。実は英語にも似た意味の言葉があります。

 

If you love your child, send him or her out into the world.

 

人が成長するときには、少しチャレンジすれば達成できるような負荷が必要です。これは、体験学習理論として心理学的にも説明されています。

www.nakahara-lab.net

寺子屋でも、子どもたちによく話しています。

 

「仲良しがいることも大事。安心できる場所だからね。でも、それだけだと成長はしない。日頃話さない子、自分とタイプが違う子とも関わってみようとすること。そうすると、成長するよ。もちろん、みんなとは親友にはなれないけど、一緒に活動するときは協力できる子になってほしい。」

 

教員時代も、寺子屋でも必ず話します。でも、話すだけではただの丸投げです。

 

いろんな人と関わることが楽しいと感じられる場面を作り実感することが大事なんです。語るのは第一歩、それを経験させる、しかも楽しみながらが重要です。

 

僕が、とてもよく使うのがプロジェクトアドベンチャーというアクティビティです。これは冒険教育と呼ばれるものです。大先輩KAIさんの本を重宝しています。

 例えば、じゃんけん一つにしても、「2分間でどれだけの子とできるかな?」と呼びかけるだけでも、全然違います。楽しみながらいつの間にか、関わっている。大事なのは、アクティビティの後の振り返りです。「自分から声かけるのが得意な人?待つのが得意な人?」そんなことを聞きながら、いろんな子がいることをみんなで分かち合います。

 

みんな違うから、一緒にいいチームを作っていこうという気持ちを持てるように関わっていくことが重要です。

 

こんなことを、繰り返し繰り返ししていくことで、チーム力が上がっていきます。

 

いつも同じメンバーで固まっていた子が、いろんな子と関わり始めます。これは大きな成長です。そこをすかさず、認める。そうすると、良い影響が周りに広がり始めます。

 

かわいい子には旅をさせよ。つまりチャレンジを十分にさせてあげることが大事です。

 

寺子屋でも、僕の目が気になるような関わりを僕がしてしまうと、子どもは存分にチャレンジできません。もちろん、安全や心の安心に関わるようなことには介入するときもありますが、それ以外は空気のようになること、もしくは一緒に楽しんでしまうようにしています。

 

子どもの時間で子どもは成長するからです。

 

教員をしていると何度も授業参観があります。授業参観は、子どもはいつもと違う顔を見せます。なぜなら、親が見ているからです。先生が、いつも以上に優しいからです。これはこれで、成長している姿です。親に良いところを見せたいと願う子の気持ちは、とても純粋で素敵です。

 

教師は教師で、みんなが活躍できるように授業の構造を変えます。せっかく見に来てくださっているのだから、頑張っている姿を見せてあげたいからです。

 

こういう時間も大事でしょう。僕も我が子の参観日は楽しみです。

 

でも、毎日が参観日だったら子どもは成長するでしょうか?

 

もし大人が、自分の子どもだけでなく、全力でいろんな子どもと遊んで学ぶのであれば、とてもいいかもしれません。

 

しかし、後ろに立って毎日、子どもの様子を覗いているだけだとしたら、子どもたちは子どもの時間をどうしても過ごせなくなるでしょう。

 

決して参観日を否定しているわけではありません。むしろ、もっと参観できる機会を作るべきだと職員会議で話していたタイプです。参観日は、ハレの行事。祭りが大事なように参観も大事です。

 

でもハレばかりでは育たないのです。ケが大事です。日常こそ育ちです。

 

育つのは子ども。育ちやすい環境を整えるのが教育の仕事です。

 

心の安心、身体の安全が守られる環境さえ整えたら、あとは子どもに任せる勇気が必要なんですよね。

 

こんなことがありました。小学校には朝会という、朝全校が集まる集会がある地域がありました。僕の勤めていた横浜でもありました。

 

しかも月曜日でした。休み明けの子どもたちは、朝の支度ものんびりです。先生は、イライラします。

 

「早く行かないと遅れるよ。早く並んで!」

 

こうやって言っても、ダラダラしちゃいます。挙げ句の果てに先生が大きな声を出します。その時は並んでも、これでは自分たちが成長したわけにはなりません。

 

でも、どんな月曜日でも、「早く行こう!準備終わっていない子手伝うよ!」そんな風なチームに育つこともできます。

 

どうやってでしょうか?

 

それは信頼して任せることです。

 

「来週の朝会、先生準備で教室にみんなを迎えに来れないんだよ。みんなに任せても良いかな?」

 

「いいよ!」

 

「ほんと!ありがとう!みんなならそう言ってくれると思ったんだよ。嬉しいよ。」

 

「先生、何分までに行けばいいんだっけ?」

 

「25分だけど、みんなの目標はどうする?」

 

「20分にするよ!!」

 

「頼もしいね。じゃあ、どうやったら20分までに行けるか、話し合ってシミュレーションしてみない?」

 

「いいね。」

 

「じゃあ、みんなランドセルに全部入れて、学校来るところからやるよwww」

 

こんな風に、楽しみながらシミュレーションを自分たちでやってみます。すると、次の月曜日、どのクラスよりも早く自分たちで並んでいるものです。

 

「ありがとう!!ほんと助かったよ!」

 

ここで大事にしてたのは、本当に子どもたちの力を信じること。できなくても、チャレンジしてくれたことに感謝すること。(できた・できないで評価しない)

 

このケースでは、任せながらもボクはシミュレーションの時間をとったりアシストをしています。でも、こういう経験をたくさん積んでいくと、いつの間にか自分たちで相談するようになっていきます。

 

寺子屋は、子どもにとっては一つの旅なのかもしれません。子どもが育つ環境を今日もまた、子どもたちと作っていく。

 

その繰り返しです。

 

 

 

 

 

 

 

 

死の体験旅行®︎を開催します

僕には好きな映画があります。

 

それは、カナダの「死ぬまでにしたい10のこと」という映画です。

filmarks.com

これは、余命宣告された主人公が、死ぬための準備をしていく映画です。なんとなく生きていた日々が、病気によって一気にドラマチックに変化していきます。

 

いつか誰しもが、死を迎えます。

 

スティーブ・ジョブズに、こんな言葉があります。

 

「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にやりたいだろうか?」

 

死について考えることは、生きることを考えることなのかもしれません。

 

主人公の死に向かうストーリーに自分を重ねながら、死を体験していく「死の体験旅行」というワークショップがあります。

 

これは、欧米のホスピスで、医療者が患者さんの気持ちを理解するために開発されたワークショップです。

 

それを日本のお坊さんが、医療者などの協力を得て「死の体験旅行」というワークショップにして、たくさんの人が参加されています。メディアにも多く取り上げられています。

www.afpbb.com

 

ぼくもこの「死の体験旅行」のワークショップを展開する僧侶チームの一員です。


死を見つめることで、今ここが輝き出す。そんな時間を過ごしてみませんか?

 

初めての伊賀市での「死の体験旅行」の開催です。

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漢字を学ぶということ

漢字を学ぶということ。

 

漢字ドリルを見ながら、ひたすら書く。これも漢字を学ぶ一部です。この場合の目的は、テストで点数を取ること、覚えることです。

 

脳の仕組みとして、忘れるということがあります。エビングハウス忘却曲線という理論が有名です。これは、人は忘れてしまうことを理論的に説明したものです。

 

だから、忘れそうになったらもう一度覚えることが大事です。つまり反復するということです。ですので、ひたすら書くという勉強方法は間違いではありません。

ja.m.wikipedia.org

しかし、覚えているものを何度もするのは効率が悪いので、間違えたところを何度もするのが良いです。小学校の場合は市販の問題集も非常に良くできています。オススメは、立命館大学陰山英男さんの問題集です。これ一冊で、6年間いけます。

 覚えるという漢字の学び方とは別に、漢字を好きになる親しむという学びもあります。

 

覚えるのは暗記

 

好きになる親しむは、探究するということです。

 

例えば、漢字の成り立ち、形、漢字遊びなどがあります。ポイントは楽しみながら自然と漢字をたくさん読み、書くということです。

 

探究の学びも非常に大事です。暗記だけだと、学ぶことが辛くなるからです。そして、頭を使って考えることは、思考力を養うからです。そして、何より楽しい。

 

寺子屋のプロジェクトは、探究する漢字です。こんなことをしています。

 

【お経を作ろう】

寺子屋の今のプロジェクトのテーマは漢字です。

寺子屋サポータでもある千葉大学名誉教授 首藤久義さんの本を参考に、オリジナルお経作りをしています。お寺だけに!!

ことばがひろがる Ⅰ

ことばがひろがる Ⅰ

 

 牛丼大好
親子丼大好
焼肉大好
蒟蒻大好

こんな風に、自分が使いたい漢字を並べて、お経風に読み上げます。

お寺ですので、鐘も本格的です。昨日、ちょっとやりましたが、大盛り上がり。これ楽しい!

漢字というと、学年配当ばかり目が行きがちですが、使いたい時に学ぶのが正解です。

なので、このような学び方だと、いろんな漢字を自然と調べて書いていきます。

お経をアレンジするなんて罰当たりと和尚さんに言われそうですが、僕も和尚なので大丈夫ですwww

 

大人の背中vol.7 山岳ガイドの河合宗寛さんと

子ども達が、ユニークな生き方をしている大人と出会う企画  「大人の背中」も7回目となりました。

 

新年度1回目です。今回は、山岳ガイドの河合宗寛(ムネ)さんをオンラインでお招きしました。

 

宗は大学の同級生です。ボクは教師の道を、彼は冒険教育の道へ。

www.obs-japan.org

大人になってからFacebookで再会し、宗もボクと同じように青年海外協力隊員だったことも知りました。それぞれの人生模様は違っても、人の力を信じる志は同じように感じていました。

 

寺子屋には、自然を愛する生徒がいます。彼と宗を引き合わせたい。それが、宗を大人の背中に招待しようと思ったきっかけでした。

 

相談すると、すぐに快諾。なんだかとっても嬉しかったな。

 

打ち合わせをZOOMでしましたが、画面越しの宗はとても穏やかで充実した人生を歩んでいる感じがしました。

 

大人の背中の当日までに、寺子屋のみんなで宗が山岳ガイドをしたNHKの番組を見ました。

www4.nhk.or.jp

また、その番組内の話が心に沁みて・・・何度も見てしまいました。

 

山頂を目指すだけがゴールじゃない。その過程も味わってほしい。そんなことを語る彼は、とてもカッコよくて。

 

この番組を見て、子ども達は当日聞く質問をグループでたくさん作ってくれました。問い作りって大事!!

 

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そして、当日。

 

みんなとまずは自己紹介し合ってスタート。宗の穏やかな語りが場の雰囲気を作っていきます。

 

みんなからの質問タイム。

 

山で死を意識した時の話。その経験が宗にもたらせた変化。じーんとしました。

 

子ども達の表情が、どんどん話に引き込まれていくのが分かって、なんだか感慨深かったです。

 

最後は宗が暮らす長野県小谷村の話や、山の話を楽しいクイズで語ってくれました。

 

同じ日本で、同じ学校に行っていたのに、こんなにも人生が違うこと。

 

一人一人の人生がユニークで、幸福でありますように。

 

みんなで宗のところに遊びにいきたい!人生変わる経験がある気がするのです。

 

宗は個人の山岳ガイドとして独立しています。いろんな体験をカスタマイズしてくれます。ぜひ、連絡してみて下さいね!

 

みんなも、宗もありがとう!

 

mountainguide.kawaimunehiro.com

 

花祭り

新学期が始まりました。

 

みんな一つずつ学年が上がり、なんだか成長を感じます。

 

今年度も、子どもが生き生きと過ごす場を共に作っていきたいと思います。

 

小学生寺子屋初回は、花祭りです。

 

お釈迦さんの誕生日会です。

 

今回は、父である住職からお釈迦様の話を聞いて、みんなで甘茶をかけました。

 

なんだかほっこりした良い時間でした。

 

お花をお庭から持ってきてくれる子もいて嬉しい限りです。

 

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伊賀の街づくりのワークショップがしたい

【伊賀で街づくりのワークショップがやりたい!!】

NPO法人WAKUTOKI

wakutoki.org

友人の相内 洋輔と立ち上げた、ワークショップの企画・運営に特化したNPO法人です。

 

令和3年度は、寺子屋と、このNPOに集中していきます。

 

僕たちは、青山学院大学ワークデザイナー育成コースで一昨年出会いました。

wsd.si.aoyama.ac.jp

ワークショップっていろんなところで聞くけど何でしょうか。

 

「参加者がワークや体験を通して、学び合い語り合い響き合い、気付きや納得解に出会うこと」

そんな風に感じています。

 

実はこの伊賀の地域でも、ワークショップの先駆者である中野民夫(東京工業大学)の街づくりワークショップが行われていたことを知りました。

 

最も尊敬するワークショップデザイナーの彼がこの地を訪れていたことも感激です。

 

ワークショップの肝は、問いとグループサイズだという彼の考えも同意します。特に問いは大事です。

 

「2030年の伊賀の街を考えよう」

 

こういったテーマで、地元のリソースを使い街づくりをする際だと、次のようなこともできそうです。

 

住民参加型と仮定すると
①「伊賀のよいところは?」
②「伊賀をもっとこんなところにしたい」
③「もっと良い地域を実現するために大切にしたいこと」

こんなことを対話しながら、街づくり企画をするのもいいかもしれません。

 

他にも、

①「伊賀のよいところ探しのフィールドワーク」
②「今後10年で伊賀の街に体験させてあげたいこと」
③「2週間以内に踏み出す一歩を決める」

こんな展開もいいかもしれません。

 

主人公は市民一人一人であるなら、一人一人の創造性や智慧を分かち合える場を作っていきたいと思うのです。

 

創造性や智慧を分かち合うには、場が必要です。それをコーディネートするのがボクたちの仕事です。

 

NPO法人WAKUTOKIは代表の相内の故郷、東北の地がメインの活動場所です。彼自身、フリーランスとして街づくりからリーダーシップなど多くの自治体や団体、企業の委託を受けてきています。

 

彼からボクが学ぶことは、めちゃくちゃたくさんあり、愉しいです。

 

伊賀のこの地にも、ワークショップという文化を根差して、一人一人が主役になって街づくりをしていきたい。

 

何よりワークショップは楽しい。縁と縁がつながり広げていける。

 

そこが魅力です。

 

興味があるという方、ぜひお声かけ下さい。

 

ボクがファシリテーターとして大事にしているのは、ユーモア、信頼、多様性、そして呼吸です。呼吸を整えることで、今に集中できる。力を引き出すには、今に集中する。あるがままの自分と向き合うことは不可欠だと思っています。

 

ワークショップは、年齢、性別、国籍などを超えた世界です。多様だから新しいものが生まれると信じています。

 

ハートフルなたこ焼き屋さん ともさん

今日は、伊賀に暮らす魅力的な方を紹介します。

 

その人は、ともさんです。寺子屋に通う子どもの保護者の方の紹介で出会ったのは秋のことだったと思います。たこ焼き屋さんです。

 

でも、ただのたこ焼き屋さんではありません。

 

平日はサラリーマン。そして、休日は、恩送りをするたこ焼き屋さんです。

 

大人が購入したたこ焼き代を、そのまま子どもへのたこ焼き代にするというたこ焼き屋さんです。その他にも、ルーレットなど子どもがワクワクするようなしかけがたくさんあります。

 

移動する駄菓子屋さんとも言えるし、子ども食堂とも言えます。

 

金銭的な利益のためでなく、心を豊かに地域が豊かになるために活動されている姿は、ほんとカッコいいなって思います。

 

秋には、お祭りに出店していただいたこともあります。

iga-daisenji.hatenablog.com

そして、昨日はお寺の駐車場に出店してくださいました。ともさんにとっても、うちにとってもwinwinです。これ大事。

 

ともさんにとっては、広いスペースで自分のやりたいことができるし、うちも地域の遊び場を街中に作ることで、子どもたちが楽しめるお寺になっていきます。

 

ボクら2人の共通点は、子どもたちが安全に楽しめる場を作りたいということです。そこがあるから、つながれます。

 

昨日は桜も綺麗でした。寺子屋の子供たちだけでなく、地域の子ども達や娘の幼稚園の子ども達など、多くの子が立ち寄ってくれました。

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子どもが大人に見守られる街づくり。それには、場が必要です。

 

これからも、子ども達がたくさん遊んで笑顔になる、そんな地域のお寺でありたいなって思います。

 

ともさん、口コミで広げてくれたみなさん、いらっしゃった方々、ありがとうございました。

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