鷲田清一さんという哲学者が大好きです。その中でも、おとなの背中というエッセイ集が大好きです。無人島に行くなら絶対持って行きます。
エッセイの題名を使わせてもらった、寺子屋企画『おとなの背中』
これは、地域で活躍する、面白い大人の方をゲストに招き、中学生と語り合うという企画です。社会は僕たちが思っている以上に広くて、世界はもっと広い。だから、子ども達には、本気になっている大人にたくさん出会ってほしい。ゲストの方から、聞いた話、話した話は、時間と共に忘れていくかもしれません。しかし、何かが残るはず。それこそが学びです。少しずつ残ったものを足していけば、大きな経験として、生きることを下支えする。
アインシュタインの言葉に、こんなものがあるそうです。
「学校で学んだことを全て忘れた時に残っているものが教育」
あーーそうだなって思う。ボクらには忘れるという機能が備わっているけど、それでも忘れないことがある。それが知となっていく。
今回のゲストは、NPO法人伝丸(https://www.tsutamaru.or.jp/)代表 和田 京子さんです。伝丸さんは、伊賀に暮らす外国人支援をするNPOの代表です。三重県NPOグランプリも受賞されている団体です。
ボクはUターンしてくる際に、伊賀は外国の人が多いから、何かサポートできることをしたいと思っていました。それは、自分自身が協力隊で海外にいた時に、たくさん現地の人に支えてもらったからです。
伊賀で活躍しているNPOがあると聞き、早速、連絡させていただきました。最初に会った時から、和田さん達の、伊賀で外国の人も日本の人も、幸せに共に生きていくことへの情熱を感じました。そして、何よりいろんなご縁が重なって、団体を立ち上げて、活動されている。その姿にも感銘を受けました。
ボクたち人間は、生きがいをもって生きることが、伸び伸び生きることにつながると思っています。それは間違い無いでしょう。生きている実感をもっているのってすごいパワーです。でも、生きがいを自分で作り出すものだって、思い過ぎてしまう。
最近読んだ『都市と野生の思考』(鷲田清一・山極寿一著)にこんな一節がありました。
「生きがいとは本来、誰かに期待されることによって生まれる。自分で決めるものじゃない。」
和田さんも、インドネシアに4年住んで帰ってきてから、伊賀の人たちに頼まれることをしているうちに、形になっていったとおっしゃっていました。なんだか、この一節に通じます。和田さんはNPOの代表ですので、通訳を手配したり、翻訳者を手配したり、支援につなげたり、黒子の仕事もたくさんしている。でも、それはいつも、伊賀に暮らす外国の方達の幸せを願っている。ゴールはぶれていないんだよなぁ。
子ども達に、伊賀で住む外国の方の話をしている時の、和田さんの顔が生き生きしていてそれも嬉しい。子どもは社会の宝だから。もっとびっくりしたのは、さすが伊賀の子ども達。当たり前のように、クラスに外国の子がいる環境で育ってきているので、関わり方も知識も豊富。未来は明るいなぁって思う。
働く=お金を稼ぐ これは株式会社でもNPOでも同じなんだけど、そうしないと、会社や団体を維持できない。でも、お金をかせぎたいから、会社があるわけでも、NPOがあるわけじゃない。社会にとって、役に立つことを提供する対価としてお金がある。そんなことを、話を聞きながら思っていました。
子ども達は、どんなことを感じたのでしょうか。今度、聞いてみようと思います。
和田さん、ありがとうございました。
和田さんから、みんなに一言もらいました。
「素敵なのは子ども達。伊賀ですくすく育っていますね。」